このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
JAPANESE | ENGLISH

脱原発世界会議

「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」開催趣旨

2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力の福島第一原発での事故は、世界に大きな衝撃を与えました。地震、津波、核災害という三重苦の中で日本の人々は、命の重みをかみしめながら、復興へ歩もうとしています。しかし原発はいまだ安定せず、労働者は過酷な業務を余儀なくされています。放射能汚染が広がり、子どもたちを含む多くの人々が被ばくを強いられ、政府の支援がないために避難もできずに、健康被害におびえています。地域経済は破壊されました。
スリーマイル島そしてチェルノブイリに続いて起きた福島の事故は、核技術はひとたび暴走すれば、人間の制御をこえ、国境をこえる脅威になることを改めて私たちに見せつけました。
福島では、母親の母乳や子どもたちの尿から、放射性物質が検出されました。このことは、人間の命が、将来の世代にわたって脅かされていることを物語っています。
振り返れば、ヒロシマ・ナガサキに始まった核時代は、ウラン採掘、核実験、原発事故、核廃棄物の処分や輸送など、核の連鎖のあらゆる過程で、世界中にヒバクシャを生み出してきました。その命と権利は、安全保障や経済成長の名の下でないがしろにされてきました。その一方で原子力の「安全神話」が作られてきたのです。今日の福島でもまた、人々の健康や安全が軽んじられ、国家や産業の論理が優先されようとしています。チェルノブイリ周辺国の基準ならば移住措置の対象となるような高い放射線量の中で、避難したくてもできずにいる方がたくさんいることは、それを示しています。
しかし、私たちはもう過ちを繰り返してはなりません。人類はいま、核と決別すべきです。命を尊び、自然と共生する持続可能な社会へと踏み出すときです。子どもや孫たちに夢と希望のある未来を渡すことが、私たちの責任です。原子力からの脱却は、核兵器の廃絶と共鳴しあい世界の平和にも寄与します。経済的な効率性を重視し、戦争を繰り返してきた核の時代を、過去のものにしましょう。
ヨーロッパでは、脱原発への動きが急速に広がっています。しかし、世界中の多くの地域では、原発を依然として重視する政府が少なくありません。
日本では、脱原発を支持する人々が半数をはるかに超え、原発依存を減らすことが閣議決定されました。しかし、脱原発が本当に可能なのかという疑問の声も少なくありません。原子力から脱却するための強い意思と明確な計画がいま、世界規模で求められています。
そのために私たちは、2012年1月、日本で「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」を開催します。
「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」は、二つのことをめざします。
第一に、世界の人々が日本に集まりフクシマの現実に学ぶと同時に、全世界の核被害者すなわちグローバル・ヒバクシャの声を集め、互いの経験に学びあう場を作ります。そして核の連鎖が人間と環境にもたらしている脅威を明らかにし、原子力からの脱却を世界に発信します。
第二に、世界の叡智を結集させ、原子力に頼らない社会をつくることが現実的に可能であることを明らかにします。既存の原子力から安全に撤退する道筋を描きつつ、自然エネルギーを基幹とする政策を提示します。日本をはじめ世界各国が採用できる脱原発への行動計画を作り、提言します。
市民が率先して行動し、国連やその他国際機関、各国政府、地方自治体、企業、大学や学校、NGOや市民グループの連携を広げていきたいと思います。多くの女性と男性、そして子どもたち、若者、親たちが参加し、国境をこえて繋がり、原子力に頼る現在の文明の転換を促し、未来への希望を生み出す場をつくりたいと思います。
参加者一人ひとりが暮らしや職場、地域や学びの場で生かすことのできる発見にあふれ、新しいアイデアや事業の提案が大いに生み出されるような会議をめざします。
皆さんのご協力をお願いします。
2011年9月 「脱原発世界会議」実行委員会